グーグルマップは、投影法にメルカトル図法を用いています。
今回は、グーグルマップ独自の仕組みというわけではなく、一般によく用いられているメルカトル図法について考えて見ます。
前回では、メルカトルや投影という言葉から連想される「地球の中心に電球があって、そこから映し出される・・・」というイメージは止めましょう、と書きました。実はこのイメージはメルカトル図法の式の導出を難しくしてしまいます。
では、どうしたらメルカトル図法の式を導けるのか、
以下の条件を満足する単なる関数と考えるのです。
条件:
緯度経度で表される球面(又は楕円面)上の領域は、
1) 平面直交xy座標に、
2) 緯線、経線は、それぞれx軸、y軸に平行になるように、
3) 図形は相似にうつされる。
この条件だけで、導くことができます。では実際に導いてゆきましょう。
今回はグーグルマップでも用いられている球面をベースにした関数を求めます。
まず、経線と緯線で囲まれた球面上の微小領域dp×dmについて考えます。
球の径をR、緯度をφ、経度をλとすると、dp、dmは以下のようになります。
はdpを含む緯線=円の径になるので、dpはそれに弧長dpが占める角度dλを掛けた値になります。dmはdmを含む経線=円の径がRになるので、弧長dmが占める角度dφを掛けた値になります。なお、ここで角度の単位はすべてラジアンです。
この球面上の微小要素dp×dmを平面直交xy座標のdx×dyにうつします。
このときに、経線はすべて平行にうつされますので、xy座標上では経線の間隔はどこでも赤道での間隔と同じになります。
すなわち、dpとdxの比は、次のようになります。
今回図形は、相似にうつされなければならないので、dmとdyも同じ比率になります。
よって、
となり、dx、dyを緯度経度の微小域dφ、dλで表すことができました。
あとはそれぞれ積分するだけです。
これで、前回用いたメルカトル図法の式が求まりました。
なお、yの積分は三角関数の積分の常套手段である
と置換して求めても同然構いません。その場合、tanを使った式の形になりますが、変形すれば上と同じになります。
このように単なる関数として考えると後は計算で求めるだけです。
普段、引用ばかりしている式も一度導いてみるとすごく身近に感じますね。
さて、次回はやっとタイルの話に入りたいと思います。
参考文献:
Snyder, John P. (1987). Map Projections – A Working Manual. U.S. Geological Survey Professional Paper 1395. United States Government Printing Office, Washington, D.C.
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